こんにちは、いっちーです!
突然ですが、あなたはサイバーブリング(Cyberbullying)という言葉をご存じですか?
サイバーブリングとは、Cyber(ネット空間)とbullying(いじめ)を合体させた言葉で、日本でも最近話題になっている”ネットいじめ”のことを意味しています。
「グループトークで誹謗中傷を書き込まれた」
「SNSでウソの告白をさせられた」
「知らないところでべつのトークグループを作られた」
「オンラインゲームで脅された」
そんなネット上で起こったイジメやトラブルって、なかなか相談しにくいですよね。
学校の先生にはもちろん言えませんし、職場で起こっても相談できない場合もあります。
「でも、自分には関係ないから…」
なんて思うかもしれませんが、統計によれば10代の人のうち30%以上もの人がネットいじめを経験したことがあるとわかっています。(1)
これからもネットがどんどん普及していく中で、ネットで起こるトラブルや人間関係は切っても切れない関係になっていきます。
そこで、今日は「サイバーブリングとその対策法」についてシェアさせてもらいたいと思います。
それではよろしくおねがいします!
【サイバーブリングとは?】
さて、ネットで起こるイジメ、と聞いてあなたはどう思いますか?
「あらあら、若い子たちは大変ね〜」なんて思うかもしれませんが、じつはネットでのイジメはいわゆる10代特有の悩みとかではなく、中年から高齢者に至るまで幅広く横行しているのです。
・個人名や店舗名を挙げて批判や悪口を書かれる。
・顔写真や個人情報を悪評とともにネットへ書き込まれる。
・経営者を攻撃する目的で倒産などのうその情報や根拠のないデマを流す。
・本人だと思わせて卑わいな画像やウソの写真を公開する。
などなど、
シャレにならないような被害を起こすこともあるのがサイバーブリングという新しいイジメの姿なのです。
いじめといえば学校、というイメージがあるかもしれませんが、流動性の少ないコミュニティーに属した人間は必ず同じようなことが起こります。
職場や家庭、もちろんネットの中でもです。
そんなネットの上で誰にも知られずひっそりと行われたイジメ活動が、ネットの普及やSNSなどによって人の目にする機会が増えて、現実世界への影響もどんどん増しているのです。
そんなとても厄介で、現実への影響力がとても大きいのがサイバーブリング被害です。
【サイバーブリングの影響力】
さて、ここで疑問に感じる人もいると思います。
「ネットに書き込まれるだけなら、べつに気にしなければいいんじゃないの?」
たしかにネット上のイジメは現実に現れないケースもあります。
しかし、これらのネット上のいじめが起こったという事実は、それを目にした本人のメンタルにすごく大きな影響を及ぼしてしまうのです。
ネットのイジメに遭うと、
・恥ずかしさや怒りから情緒が不安定になる。
・自尊心や好きなことに対する興味を無くしてしまう。
・睡眠不足になって疲労、胃痛、頭痛などの症状が出現する。
・他人から笑われたり嫌がらせを受けたりすることで猜疑心が強くなる。
などなど、心身ともに大きな影響が出ます。
また、サイバーブリング被害にあった人では、自傷行為や自殺に至るリスクも高まることが明らかになっています。(2)
前述したように会社や家族にまで被害が出ることがあり、その後の人生に大きな影響を与えることもあるのです。
【イジメって大袈裟な、ただの冗談でしょ?】
ネットのイジメはいまでも「冗談」で済ませられることが数多くあります。
職場のグループチャットで誹謗中傷されたり、友達のグループチャットで勝手に写真を使われたりと、けっこうな被害にあって相談しても「でもネットの冗談みたいなものでしょう」と捉えられてしまいます。
ネット上で起こる被害は、当事者とそのほかとでは感じる影響力に大きな隔たりがあります。
どこまでいっても、被害にあった当事者でなければ「しょせんはネット上での出来事」として片付けられてしまうのです。
友達なら誰だって冗談をいうものですが、もしあなたがそのせいで傷ついていたり、「あなた『を』笑っている」と感じるときは、それは冗談ではなくなります。
やめてほしいと伝えてもやめてくれないのなら、それはまぎれもないイジメです。
あなたがガマンを続ける必要はないのです。
【サイバーブリングの相談場所は?】
「でも、相談をしても何も変わらないでしょ?」
サイバーブリング被害に遭われた人のなかにはそう考える人がいます。
いまでも一度書き込まれたこと、撒き散らされたデマはもう取り返しがつかない、そう考える人もいます。
ですが、ネット上であっても他人から被害を受けた場合は相談することで解決できる場合があります。
また、場合によっては専門家の方に相談したり、削除要請によって誤った情報などを正せる場合もありますので、まずは一人で悩まず”相談できるチャネルを増やす”ことが何より大切だとご理解ください。
サイバーブリング被害にあったら、
1、まず、両親や身近な家族、普段から信頼関係がある大人など、あなたが信じて頼れる人に助けを求めることが第一になります。またネット上などで明らかにイジメと捉えられるチャットや画像が見つかった場合は、IDなどといっしょに保存しておきましょう。
いざというときに証拠の有無は非常に重要になります。自分を守るためだと思って必ず保管してください
2、身近な大人では解決できない、あるいは不足だと感じたときには第三者とのチャネルを作りましょう。学校で起きているのであれば、スクールカウンセラー、部活の顧問の先生、話しやすい先生などに相談するのもいいでしょう。ただしそういった閉じたコミュニティだからこそ内々に済ませて、問題を公にできず流されてしまうこともあります。そのため学校や職場に相談しても解決されない場合は、相談先を増やしてとにかくチャネルを増やすことを優先させてください。
・24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):電話(24時間)・SNS・窓口の無料相談
・子どもの人権110番(法務省):電話・メールの無料相談
・法テラス
また緊急性が極めて高く、悪質な行為が続く場合は迷わず#9110番しましょう。
こんなことで相談しちゃっていいんだろうか…と思われるかもしれませんが、明らかな証拠がある、被害に遭われていて緊急性が高い場合には動いてくれることがあります。
そうでなくとも、警察に相談していた、という事実があるかないかでその後の対処方法も変わる可能性があります。
また、最近は匿名でイジメ被害を報告できるようなサービスも増えてきています。
・いじめ情報を匿名で報告するウェブサイト「うきわネットワーク」
・一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)のセーフライン
すぐに解決につながるかはわかりませんが、繰り返し問題を示し続けることで学校や職場も動いてくれる場合があります。
サイバーブリング被害はときに人の命にも影響を及ぼす危険があります。
身近な人や友人、家族が悩んでいる場合にも相談できることがあるので、あなた一人で悩まずにまずは相談するチャネルを開くようにしてください。
【サイバーブリング被害とネットの付き合い方について】
よくある話なのですが、
「ネットやSNSが悪いのなら、禁止すればいいじゃないか!」
と発言される人がいます。
確かにネットを制限することは精神衛生の上では良い影響をもたらすこともあります。
とくにネットやゲームのしすぎで寝不足になっている人は、それらの利用時間を制限することで寝不足が解消されて、メンタルヘルスにとって良い影響が得られることもわかっています。
ですが、サイバーブリング被害を減らす、という効果はあまりないそうです。
2019 年の全米教育統計センター (NCES) の報道によれば、学校でスマホの利用を禁止している学校の方がサイバーブリング被害が多いという報告があります。(3)
「学校でスマホを禁止したほうがネットのイジメが増えるなんて…」
と思われるかもしれませんが、サイバーブリング被害は学校よりもむしろ家に帰った放課後や夜間に発生します。
わざわざ授業中や休み時間に先生の目を盗んでスマホにネガティブなことを書き込もうとはしないのです。
また、これほどネットが普及している現代で、スマホやネットに触れることを制限し続けるというのには無理があります。
あくまでこれらの技術は、生活を便利にしてくれるためのツールのひとつですので、付き合いを全くやめてしまうというよりも、使用方法を考えることのほうが現実的です。
いじめがSNS上で起きている場合は、フォローを解除する、ブロックする、など相手から距離をとることを考えてください。
また、明らかな誹謗中傷など不愉快な投稿の場合は報告する機能を使うことでソーシャルメディア企業が削除してくれることもあります。
またネットに触れる時間を取りすぎず、ネットを見続けた後はリフレッシュする時間を取るようにすることで、心身のバランスが取れるようになります。
スマホもSNSも使い方次第です。
包丁やハサミのように便利な場合もあれば、人を傷つけてしまうこともあるでしょう。
大事なのは関わり方、付き合い方なのです。
【サイバーブリングはなくなるのか?】
さて、ここまでサイバーブリングについてお話ししてきました。
ネット上のいじめやトラブルはなかなか他人に相談しにくいものです。
良くも悪くも、ネットでは当事者意識が薄れてしまうので、「イジメているつもりなんてなかった」「大袈裟に捉えすぎだ」と、加害者と被害者の意識にギャップが生じやすいことも大きな要因だと思います。
この意識のギャップが消えない限りはサイバーブリングはなくなることはないでしょう。
だからこそ、「心を支える技術」として知識を蓄えておくことは大切だと思います。
今回はサイバーブリングのあらましについてシェアさせていただきましたので、もし需要がありましたら今度はサイバーブリング被害に遭ってしまった後での治療法などをシェアしたいと思います。
それでは、本日もお付き合いいただき、ありがとうございます。
いっちーでした。
(1)Patchin, Ph.D, Justin. “2019 Cyberbullying Data.” Accessed July 30, 2019, https://cyberbullying.org/2019-cyberbullying-data.
(2)John A, Glendenning AC, Marchant A, Montgomery P, Stewart A, Wood S, Lloyd K, Hawton K
Self-Harm, Suicidal Behaviours, and Cyberbullying in Children and Young People: Systematic Review J Med Internet Res 2018;20(4):e129
doi: 10.2196/jmir.9044
(3)DATA POINT U.S. DEPARTMENT OF EDUCATION NCES 2019-053 JANUARY 2019
https://nces.ed.gov/pubs2019/2019053.pdf
参照:Cyberbullying: What is it and how to stop it
https://www.unicef.org/end-violence/how-to-stop-cyberbullying